DX推進でよくある3つの課題と解決策
DX推進における典型的な課題については、以下の3つがあげられます。
- 部署間での連携不足
- バラバラな情報と古いツールによる壁
- 専門性の高いDX人材・PM人材の不足
各課題の概要と解決策を見ていきましょう。
課題1:部署間での連携不足
DX推進は、特定の部署だけで完結するものではありません。企業全体の変革を目指すには、部署間のシームレスな連携が不可欠です。しかし、既存の組織体制や縦割り意識が障壁となり、情報共有や協力体制が十分に機能しないケースは少なくありません。
【解決策】プロセスの再設計による連携強化
部署間の連携を強化するには、単に特定のツールを導入するだけでなく、組織全体での意識統一と共通の仕組み作りが重要であり、多くの企業が取り組むべき点です。
DX推進においては、各部署が独立して動くのではなく、顧客体験全体を向上させるための有機的な連携が不可欠です。「The Model」のような、マーケティングからカスタマーサクセスまで部門連携を強化する営業プロセスを取り入れることで、部署間の連携を自然と強化し、顧客起点でのDX推進を加速できます。
参考:
Salesforce「The Model(ザ・モデル)とは?用語と営業プロセスをSalesforceが解説」
課題2:バラバラな情報と古いツールによる壁
多くの企業では、部署ごとに異なるツールを利用していたり、紙ベースの業務が残っていたりするため、情報が分散し、有効活用されていない現状があります。また、長年使用してきた古いツールが、新しいDX推進の足かせとなるケースも少なくありません。データが分断された状態では、業務効率化や生産性向上は期待できないでしょう。
【解決策】データ利活用の環境整備とツール連携
情報を一元的に管理し、社員全員で共有できる仕組みを構築することが重要です。例えば、CRMを導入し、散在していた顧客情報を一か所に集めて共有できる仕組みを整備しましょう。すぐに全てのツールを刷新することが難しい場合でも、部分的に新しいツールを導入・連携させることで、データの統合を可能にし、段階的にDXを進めることができます。
課題3:専門性の高いDX人材・PM人材の不足
DXを推進するには、専門性の高いスキルを持つDX人材や、プロジェクト全体を推進・管理できるプロジェクトマネジメント(PM)人材の確保が不可欠です。しかし、こうした人材は市場に少なく、多くの企業が人材不足に課題を抱えています。
【解決策】DX人材の採用・育成と外部の支援会社の活用
即戦力となるDX人材を新規に採用したり、既存社員を対象に研修やリスキリング(新しいスキルの習得)を推進することで社内からDX推進の担い手を育成しましょう。
しかし、自社だけでDX人材の確保を進めるには、リソースや時間的な制約があるのも事実です。
そういった場合は、外部のコンサルティングサービスやベンダーとの連携が非常に有効です。外部の専門知識やリソースを活用することで、効率的にDXを推進できます。
DX推進においては専門人材の確保が大きな鍵となります。内製化支援やPMO支援を含め、DX推進の支援はビジネスイーカンパニーにお任せください。
豊富な実績と常駐型支援で、DX人材のご提案からプロジェクト推進まで、貴社を徹底的にサポートします。
DX推進の成功事例
ここからはDX推進の成功事例を2つご紹介します。
バリューチェーンの連携見直しでスピードアップを実現|日立ハイテク
日立グループの中核企業である株式会社日立ハイテクは、約1,500社の企業と密に連携を取りながら、新たな製品やサービスを継続的に開発しています。バイオ・メディカルシステムや半導体製造装置などの製品を顧客に長年活用してもらうため、導入後のアフターセールス対応を重視していました。
【課題】
- 社内情報連携の非効率性: 顧客情報が部署ごとに分断され、共有プラットフォームも未統一。
- 顧客アプローチの遅延: 顧客のシステム更新時期に合わせたタイムリーなアプローチが困難で、競合に顧客を奪われるリスク。
【解決策】
同社は、これらの課題に対し「ありたい姿」を明確にし、製品中心から顧客中心へと事業のあり方を変革しました。さらに、Salesforce Service Cloudを導入し、製造・販売・サービスといった一連の業務プロセスにおける情報を一つのプラットフォームで連携させました。
この結果、製品購入からアフターセールスまで、顧客との接点全てが一貫してつながるようになり、ビジネス全体のスピードアップと顧客体験の向上を実現しました。
参考:
日立ハイテク 製品購入からアフターセールスまで すべてのバリューチェーンをつなぎ ビジネスをスピードアップ
営業プロセスの透明化で効率改善を実現|NTTPCコミュニケーションズ
NTTグループの一員である株式会社NTTPCコミュニケーションズは、法人向けにIoTやクラウド基盤などを提供しています。同社では、デジタル上で営業プロセスを管理・可視化する仕組みが整っておらず、営業活動が属人化している上に、施策の効果分析も不十分であるという課題を抱えていました。
【課題】
- 販促活動のデジタル化の遅れ: 社内の販促活動においてデジタル化が停滞。
- 顧客データ管理の分散: 顧客データが施策や部門ごとにバラバラに管理され、一元化されていない。
- 営業効率とプロセスの透明性の欠如: 営業活動が属人化し、成果分析や改善が困難。
【解決策】
同社は、これらの課題を解決するため、マーケティングと営業活動の抜本的なデジタル化を推進するDXプロジェクトを立ち上げました。その核としてHubSpotを導入しました。
これまで個別に運用されていたCRMをHubSpotを中心に一本化することで、同社が提供する約40種類の全サービスの営業プロセスを数値で追えるようになりました。
この取り組みにより、約2億円の施策コスト削減と、毎年200%成長の売上達成に貢献するという、目覚ましい成果を上げています。
参考:
【HubSpot導入事例】約2億円の施策コストの削減と、毎年200%成長の売り上げに貢献~株式会社NTTPCコミュニケーションズ~
まとめ
本記事では、「DXとは何か」という基本的な概念から、企業が今なぜDXに取り組むべきなのか、リスク、そして具体的なロードマップやよくある課題と解決策、さらには成功事例まで、DX推進の全体像を網羅的に解説しました。
〈今回の記事のポイント〉
- DXは、単なる業務効率化に留まらず、生産性向上、顧客体験の変革、新たなビジネスモデルの創造、そして競争力の強化に繋がる、現代ビジネスにおける必須の変革です。
- DX推進を成功させるためには、明確なロードマップに基づき、現状把握、目的設定、体制構築、スモールスタート、PDCAサイクルを回すことが重要です。
- 部署間の連携不足、情報・ツールの分断、専門人材不足がDX推進の主な課題であり、これらにはプロセス再設計、データ利活用の環境整備、外部パートナーの活用が有効な解決策となります。
- 特に、DXを推進するためには、ビジネスとITの両面を理解し、変革をリードできるDX人材の確保と育成が極めて重要です。人材不足こそが、多くの企業がDXで躓く最大の要因とも言えます。
ビジネスイーカンパニーでは、BtoBマーケティング・営業部門のDX化支援において、戦略から実行まで各フェーズに最適なDX人材を提案いたします。ツールの導入からコンテンツ制作、プロジェクト推進まで、専門スキルを持つプロフェッショナルが貴社のDX推進をサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。