【DXとは】今さら聞けない、ビジネス変革を推進するDX戦略のススメ|事例つき

【DXとは】今さら聞けない、ビジネス変革を推進するDX戦略のススメ|事例つき

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の重要性は多くの企業で認識されています。しかし、「具体的に何から始めれば良いのか」「目指すべきゴールが明確でない」といった悩みを抱え、DX推進に踏み出せない企業も少なくありません。
本記事では、DXの基礎理解から具体的な推進のステップ、課題、解決策、そして成功事例まで網羅的にご紹介します。

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DXの基礎理解!なぜ今、変革が必要なのか?

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DXとは?

DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、単なる「デジタルツールの導入」や「業務のデジタル化」ではありません。DXとは、デジタル技術を戦略的に活用し、業務プロセス・ビジネスモデル・組織文化を根本から変革し、競争優位性を確立することを指します。

例えば、顧客情報を紙からCRM(顧客管理支援ツール)へ移行するだけでは、DXの実現とは言えません。CRMに蓄積されたデータを分析し、特定の商品に興味を示した顧客に、自動で活用事例メールを送付したり、製品デモを希望するタイミングで最適な営業担当から連絡を入れたりすることで、初めてビジネスとしての成果に結びつきます。

 

DXが企業にとって不可欠な理由

現代のビジネス環境は、目まぐるしく変化しています。少子高齢化による労働人口の減少、顧客ニーズの多様化、グローバルな競争の激化など、企業を取り巻く課題は多岐にわたります。

このような状況下で企業が持続的な成長を実現するためには、部署ごとに個別最適化された情報共有プロセスや、経験や勘に頼った属人的な営業活動など、旧来の手法からの脱却が不可欠です。

そのため、企業を取り巻く課題に対応し、成長を継続するためにはDXが強力な推進力となります。

 

DXを推進しないことの具体的なリスク

DXを推進しないことで以下のようなリスクが考えられます。

 

  1. 非効率な業務による生産性の低下
  2. データ活用不足による顧客の流出
  3. 時代遅れなビジネスモデルによる共感力の低下

 

①非効率な業務による生産性の低下

紙での管理や手作業による承認フロー、部署ごとに異なるExcelファイルでデータ共有を行うなどのアナログな手法に固執し続けると、無駄な作業や時間が発生し、従業員の負担が増加します。生産性の低下を招くだけでなく、従業員のモチベーション低下にもつながり、結果として企業の成長を阻害する大きな要因となるでしょう。

 

②データの利活用が不十分で顧客の流出

現代の顧客は、自分の状況にぴったりの情報が欲しい時にすぐ手に入る体験を期待しています。顧客データを十分に収集・分析できない企業は、顧客の真のニーズを把握しきれません。

その結果、顧客満足度が損なわれ、大切な顧客が競合他社へ流出する可能性が高まります。

 

③時代遅れなビジネスモデルによる共感力の低下

デジタル技術の進化は、次々と新たなビジネスモデルを創出しています。DXを推進しない企業は、変化に対応できず、市場のトレンドから取り残されてしまいます。するとやがて、顧客や社会からの共感が得られなくなり、企業としての魅力が低下することで長期的な成長が困難になる可能性があります。



DX推進のロードマップ:成功への3つのフェーズ

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DX推進は、一夜にして達成されるものではありません。着実に成果を出すためには、計画的なロードマップに基づき段階的にDXを推進することが不可欠です。
基本的なDX推進におけるロードマップは以下の三つのフェーズに分けられます。

 

  1. 準備フェーズ:DX推進の体制を整える
  2. 実行フェーズ:具体的に小さくアクションを起こす
  3. 定着フェーズ:効果を測定して継続的に改善する

 

各フェーズの概要を見ていきましょう。

 

1. 準備フェーズ:DX推進の体制を整える

このフェーズでは、現状の社内業務フローの把握、DX推進の目的の明確化、そして人材の確保などのDX導入を進めていくための体制づくりを行います。

まず、自社の状況を正確に把握することから始めましょう。

具体的には、自社の業務プロセス、ITシステム、顧客データ活用状況などを詳細に分析し、正確に現状を把握します。どこに非効率な部分が存在するのか、どのような情報が分断されているのかを明確にすることが、推進の第一歩です。

 

次に、「なぜDXを推進するのか」「DXによって何を達成したいのか」を具体的に設定します。

「売上〇%アップ」「顧客満足度〇%向上」「従業員満足度〇%向上」など、定量的な目標が望ましいでしょう。ゴールが明確であればあるほど、推進の方向性が定まりやすく、施策を評価しやすくなります。

 

最後に、DX推進の体制構築と人材の確保・育成を進めましょう。

DXは全社的な取り組みです。経営層を巻き込み、部署横断的なDX推進チームを立ち上げることを検討します。はじめは少数からでも良いので推進のために行動できるチームがあると、関係者からの理解を得るための成果を作りやすいでしょう。

 

また、社内に専門知識・スキルがなければ、DXを牽引できる専門人材の育成や、外部からの人材確保も視野に入れる必要があります。

 

2. 実行フェーズ:具体的に小さくアクションを起こす

このフェーズでは、設定した目標達成に向けて、具体的なツールの導入や業務改革に着手します。

 

準備が整ったら、具体的なアクションを起こします。

大規模な変革を目指す前に、まずは小さく始めて成功体験を積み重ねることが重要です。例えば、情報共有プロセスのデジタル化から始め、目にみえる成果を出すことで関係者の理解と協力を得やすくなります。

 

そうして得られた成功体験を足がかりに、本格的にツールの導入・活用を進めましょう。顧客データの一元管理にはCRM(顧客関係管理)、営業活動の効率化にはSFA(営業支援システム)、マーケティング活動の自動化にはMA(マーケティングオートメーション)など、目的に応じたツールを導入し、効果的に活用していきます。

 

3. 定着フェーズ:効果を測定して継続的に改善する

このフェーズでは、実行した施策の効果を評価し、継続的に改善のサイクルを回すことでDXを組織に定着させます。

 

DXは一度の取り組みで完結するものではありません。変化するビジネス環境に適応し続けるために、継続的な改善が不可欠です。

導入したツールや変革したプロセスが、設定した目的・目標に対してどの程度の効果があったのかを定期的に測定し、改善点を見つけてPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回しましょう。データに基づいた客観的な評価が、次のアクションへと繋がります。

 

ご紹介したロードマップを「自社でも進めてみよう」と思っても、いざとなると「何から手を付けたらいいんだろう…」と不安になることもあるかもしれません。そんな時は、私たちのようなプロのサポートが力になります。

ビジネスイーカンパニーでは、ロードマップに沿って、戦略策定から運用、そして定着させるまでをお客様の社内に常駐して伴走させていただきます。

 



DX推進でよくある3つの課題と解決策

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DX推進における典型的な課題については、以下の3つがあげられます。

 

  1. 部署間での連携不足
  2. バラバラな情報と古いツールによる壁
  3. 専門性の高いDX人材・PM人材の不足

 

各課題の概要と解決策を見ていきましょう。

 

課題1:部署間での連携不足

DX推進は、特定の部署だけで完結するものではありません。企業全体の変革を目指すには、部署間のシームレスな連携が不可欠です。しかし、既存の組織体制や縦割り意識が障壁となり、情報共有や協力体制が十分に機能しないケースは少なくありません。

 

【解決策】プロセスの再設計による連携強化

部署間の連携を強化するには、単に特定のツールを導入するだけでなく、組織全体での意識統一と共通の仕組み作りが重要であり、多くの企業が取り組むべき点です。

 

DX推進においては、各部署が独立して動くのではなく、顧客体験全体を向上させるための有機的な連携が不可欠です。「The Model」のような、マーケティングからカスタマーサクセスまで部門連携を強化する営業プロセスを取り入れることで、部署間の連携を自然と強化し、顧客起点でのDX推進を加速できます。


参考:
Salesforce「The Model(ザ・モデル)とは?用語と営業プロセスをSalesforceが解説

 

課題2:バラバラな情報と古いツールによる壁

多くの企業では、部署ごとに異なるツールを利用していたり、紙ベースの業務が残っていたりするため、情報が分散し、有効活用されていない現状があります。また、長年使用してきた古いツールが、新しいDX推進の足かせとなるケースも少なくありません。データが分断された状態では、業務効率化や生産性向上は期待できないでしょう。

 

【解決策】データ利活用の環境整備とツール連携

情報を一元的に管理し、社員全員で共有できる仕組みを構築することが重要です。例えば、CRMを導入し、散在していた顧客情報を一か所に集めて共有できる仕組みを整備しましょう。すぐに全てのツールを刷新することが難しい場合でも、部分的に新しいツールを導入・連携させることで、データの統合を可能にし、段階的にDXを進めることができます。

 

課題3:専門性の高いDX人材・PM人材の不足

DXを推進するには、専門性の高いスキルを持つDX人材や、プロジェクト全体を推進・管理できるプロジェクトマネジメント(PM)人材の確保が不可欠です。しかし、こうした人材は市場に少なく、多くの企業が人材不足に課題を抱えています。

 

【解決策】DX人材の採用・育成と外部の支援会社の活用

即戦力となるDX人材を新規に採用したり、既存社員を対象に研修やリスキリング(新しいスキルの習得)を推進することで社内からDX推進の担い手を育成しましょう。

 

しかし、自社だけでDX人材の確保を進めるには、リソースや時間的な制約があるのも事実です。

そういった場合は、外部のコンサルティングサービスやベンダーとの連携が非常に有効です。外部の専門知識やリソースを活用することで、効率的にDXを推進できます。

 

DX推進においては専門人材の確保が大きな鍵となります。内製化支援やPMO支援を含め、DX推進の支援はビジネスイーカンパニーにお任せください。

豊富な実績と常駐型支援で、DX人材のご提案からプロジェクト推進まで、貴社を徹底的にサポートします。

 

 

 

DX推進の成功事例

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ここからはDX推進の成功事例を2つご紹介します。

 

バリューチェーンの連携見直しでスピードアップを実現|日立ハイテク

日立グループの中核企業である株式会社日立ハイテクは、約1,500社の企業と密に連携を取りながら、新たな製品やサービスを継続的に開発しています。バイオ・メディカルシステムや半導体製造装置などの製品を顧客に長年活用してもらうため、導入後のアフターセールス対応を重視していました。

 

【課題】

  • 社内情報連携の非効率性: 顧客情報が部署ごとに分断され、共有プラットフォームも未統一。
  • 顧客アプローチの遅延: 顧客のシステム更新時期に合わせたタイムリーなアプローチが困難で、競合に顧客を奪われるリスク。

 

【解決策】

同社は、これらの課題に対し「ありたい姿」を明確にし、製品中心から顧客中心へと事業のあり方を変革しました。さらに、Salesforce Service Cloudを導入し、製造・販売・サービスといった一連の業務プロセスにおける情報を一つのプラットフォームで連携させました。

 

この結果、製品購入からアフターセールスまで、顧客との接点全てが一貫してつながるようになり、ビジネス全体のスピードアップ顧客体験の向上を実現しました。

 

参考:

日立ハイテク 製品購入からアフターセールスまで すべてのバリューチェーンをつなぎ ビジネスをスピードアップ

 

営業プロセスの透明化で効率改善を実現|NTTPCコミュニケーションズ

NTTグループの一員である株式会社NTTPCコミュニケーションズは、法人向けにIoTやクラウド基盤などを提供しています。同社では、デジタル上で営業プロセスを管理・可視化する仕組みが整っておらず、営業活動が属人化している上に、施策の効果分析も不十分であるという課題を抱えていました。

【課題】

  • 販促活動のデジタル化の遅れ: 社内の販促活動においてデジタル化が停滞。
  • 顧客データ管理の分散: 顧客データが施策や部門ごとにバラバラに管理され、一元化されていない。
  • 営業効率とプロセスの透明性の欠如: 営業活動が属人化し、成果分析や改善が困難。

 

解決策

同社は、これらの課題を解決するため、マーケティングと営業活動の抜本的なデジタル化を推進するDXプロジェクトを立ち上げました。その核としてHubSpotを導入しました。

これまで個別に運用されていたCRMをHubSpotを中心に一本化することで、同社が提供する約40種類の全サービスの営業プロセスを数値で追えるようになりました。

この取り組みにより、約2億円の施策コスト削減と、毎年200%成長の売上達成に貢献するという、目覚ましい成果を上げています。

 

参考:

【HubSpot導入事例】約2億円の施策コストの削減と、毎年200%成長の売り上げに貢献~株式会社NTTPCコミュニケーションズ~

 

 

まとめ

本記事では、「DXとは何か」という基本的な概念から、企業が今なぜDXに取り組むべきなのか、リスク、そして具体的なロードマップやよくある課題と解決策、さらには成功事例まで、DX推進の全体像を網羅的に解説しました。

 

〈今回の記事のポイント〉

  • DXは、単なる業務効率化に留まらず、生産性向上、顧客体験の変革、新たなビジネスモデルの創造、そして競争力の強化に繋がる、現代ビジネスにおける必須の変革です。
  • DX推進を成功させるためには、明確なロードマップに基づき、現状把握、目的設定、体制構築、スモールスタート、PDCAサイクルを回すことが重要です。
  • 部署間の連携不足、情報・ツールの分断、専門人材不足がDX推進の主な課題であり、これらにはプロセス再設計、データ利活用の環境整備、外部パートナーの活用が有効な解決策となります。
  • 特に、DXを推進するためには、ビジネスとITの両面を理解し、変革をリードできるDX人材の確保と育成が極めて重要です。人材不足こそが、多くの企業がDXで躓く最大の要因とも言えます。

 

ビジネスイーカンパニーでは、BtoBマーケティング・営業部門のDX化支援において、戦略から実行まで各フェーズに最適なDX人材を提案いたします。ツールの導入からコンテンツ制作、プロジェクト推進まで、専門スキルを持つプロフェッショナルが貴社のDX推進をサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

BE Magazine編集部
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