SFAとは

SFAは営業の業務プロセスすべてをデータ化し、業務を自動化・可視化するツールです。
SFAとは、「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略称です。日本語では「営業支援システム」と訳されます。SFAは営業活動に特化したツールであり、営業の業務効率化・利益最大化を実現するべく作られました。
年々SFAを導入する企業は増加しています。矢野経済研究所の調査では、国内企業におけるCRM/SFAの導入率は2020年から2022年にかけて16.1%→32.1%という結果でした。
引用文献:「ERP及びCRM・SFAにおけるクラウド基盤利用状況の法人アンケート調査を実施(2022年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所」https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3213
(最終アクセス:2025/7/16)
今後もSFAの導入企業は増えていくことが予想されます。今からSFAを取り入れて売上成果に繋げられれば、未導入の競合に対し優位に立てるチャンスだと言えるでしょう。
そこで、SFAの導入メリットを理解するために機能について知識を入れておきましょう。
SFAの機能
SFAの機能は数多くありますが、特に使われることが多い以下4つの機能を紹介します。
- 商談管理
- 顧客管理
- 営業活動管理
- レポート作成
1.商談管理
商談管理とは、商談の進捗状況などを集約・管理する機能です。
商談ごとに参加者名、日時、やり取りの内容、受注確度、契約書類などの情報を入力します。
これにより正確な商談データが蓄積され、成功要因や失敗要因を振り返れるようになります。また、担当営業の不在時や離職時にも別の担当が後追いして対応することが可能です。
2.顧客管理
顧客管理とは、顧客情報をデータベース化する機能です。
社名・担当者名などの基本情報から、過去の接触履歴まで幅広く情報を収集します。
顧客ごとの悩みや予算、社風を把握しておけば、商談に反映させて成約率を高めることが可能です。
商談管理と異なる点として、顧客単位で過去のやり取りを引き出せることが挙げられます。顧客のリピート状況や他部署との取引履歴などが分かれば、アップセル・クロスセルの提案およびリードリサイクルのチャンスが広がるでしょう。
3.営業活動管理
営業活動管理とは、マネージャーが営業の活動報告を確認する機能です。
日報・週報などの報告やスケジュール登録など、複数のツールを使い分けていた事務作業がすべてSFA上で完結するので、営業にとっても嬉しい機能ではないでしょうか。
また、営業の予実管理も可能です。テレアポや商談の目標達成度を入力しましょう。
これらによりマネージャーは部下の活動状況や成績を一覧でチェックできるため、マネジメントやフォローアップが最適化されます。
加えて提案資料・クレームの対応事例・成功体験・失敗体験など、次の営業活動に活かせそうなノウハウを各営業が記録として残すことができます。優秀な営業のノウハウを展開することで再現性を高めたり、新人教育の教材として活用したり、といった応用が可能です。
4.レポート作成
収集したデータをレポート化し、データを可視化する機能です。
表の作成やグラフ化の機能が標準搭載されているので、特別なスキルがなくてもデータをビジュアル化できます。
またレポートのテンプレートが標準搭載されているため、自作する手間がかからず、出力機能を使えばそのまま報告資料とすることも可能です。
SFAの機能は理解いただけたでしょうか?
次はSFAを導入した企業がどんな悩みを抱えていたのか・それをSFAでどうやって解決したのか、実際にあったケースをもとに紹介します。
営業が抱える悩み 表計算ソフトの限界

ビジネスイーカンパニーではSFAの導入をご支援しており、お客様から導入時のお悩みを伺ってきました。
SFA未導入の多くのお客様はExcelやスプレッドシートなど表計算ソフトで営業管理していました。表計算ソフトでの営業管理には多くの課題がありましたが、その中でも以下3つをご紹介します。
1.蓄積データを管理できない
過去の商談データを蓄積し振り返ることができないという課題です。
表計算ソフトにおいてすべての過去データを保存する運用は現実的ではありません。データが蓄積するにつれてファイルが重くなり運用に支障をきたすためです。したがって過去のデータを残すには、定期的にバージョンを分けてファイルを増やしていくしかありませんが、工数がかかるうえ実用性が損なわれます。
しかし積み重なっていくファイルを見直す運用は手間がかかるうえ、実際には上書きされてしまいデータの品質が保てない、などの課題が生じます。
結果、過去の事例を次回に生かすことや、取引先との過去の商談を記録することができません。とりわけ取引履歴が確認できない状態で同じ顧客と再取引する場合には、信頼を損ない失注する事態にもなりかねません。
2.セキュリティ維持が難しい
営業データの共有とセキュリティを両立できないという課題です。
営業データを共有する際、チーム内・部署間など共有したい相手はその都度変わります。表計算ソフトの場合、閲覧権限を個別に付与したり、複数のファイルを使い分けたりといった手間がかかります。
特に事業横断での営業データ管理が必要な際には、すべてのデータを1つのファイルに集約してしまうと閲覧権限のコントロールができず、セキュリティ管理が困難です。
3.データにばらつきがある
個々の営業に記入ルールが浸透していないことによりデータの入力不備が生じるという課題です。
営業が入力規則を遵守せず自分に必要なデータのみを記載してしまうケースは、営業の方なら覚えがあるかもしれません。
原因は、チームで商談内容や顧客状況を共有する文化がない(属人化している)ことにあります。業績を振り返ったり、メンバーの入力データを改善に役立てたりする習慣がないと、営業はデータが何の役に立つかを理解できません。
データ不備によってマネジメント側が管理できない・分析の正確さが損なわれる、などの弊害が生じます。
SFA導入による解決策

ここからは上記の悩みをSFAがどのように解決してくれるのか、解説します。
1.SFAでデータ管理
「蓄積データを管理できない」という課題への解決策です。
SFAにデータを蓄積することで管理が容易になります。
SFAはデータの蓄積を前提としているため、過去の商談データをいつでも見返せます。また商談の各プロセスでの情報は上書きではなく追記していくため、途中経過を振り返って改善点を見つけることも可能です。検索も簡単で、情報が一元化されているため1つのデータベースにすべての案件が格納されています。
ただし、一般的には契約プランによってデータ上限が決まっています。データが増えたら容量の追加を検討する、もしくは運用していく上で不要なデータがあれば削除や入力項目の見直しを実施しましょう。データ容量に余裕を持たせることで、常に快適な動作を維持できます。
2.ロール付与
「セキュリティ維持が難しい」という課題への解決策です。
SFAのロール付与機能によってセキュリティをカバーしつつ、データを一元管理することができます。
ロールとはアクセス権限の範囲を段階的に付与する仕組みです。ロールごとの閲覧可能データは管理者が定義できます。ロールを作ったら、各ユーザーのアカウント発行時にロールを付与します。
これにより管轄外のデータ閲覧を制限する・編集権限を管理して誤操作や改ざんを防ぐ、などの対策が可能です。部署異動や再編成の際はロールを変更すればよいので、部署外に移ったあともデータが編集可能なままになっていた、という事態を防ぐことができます。
3.データ形式の統一
「入力ルールがなくデータにばらつきがある」という課題への解決策です。
SFAでデータの入力形式を定義し、質の高いデータを集めましょう。
マネジメント側が管理・分析に必要な項目とその入力形式を設定して、各営業はそのルール通りに入力します。管理・分析を前提とした入力ルールにすることで、業績改善に直結する質の高いデータを収集できるのです。
導入初期はデータ入力の手間が生じるため営業の賛同を得られにくいかもしれません。しかしデータが業績に貢献する成功体験が出来れば、個々の営業がデータの有用性を理解できます。営業の意見も取り入れながら必要なデータを精選し、営業とマネージャーが協力してSFAを有効活用していきましょう。
SFA導入で営業の悩みを解決する方法をご紹介しました。
「同じ悩みがある」という方もいれば「そもそも何を解決すれば良いのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビジネスイーカンパニーは営業のお悩みに寄り添います。
SFA導入が課題の解決策になるのか分からない、という不安があればまずはお話をお聞かせください。
導入の注意点
SFA導入にはコストと時間がかかります。
それに見合うメリットを得るためには、解決すべき課題の優先順位付けが必要です。
特に導入の際に重視すべきポイントを2点に分けて紹介します。
1.ツールの選び方
導入の際にまず重要なのは、ツールの選定です。
SFA製品は50種類以上存在するので、ポイントを決めて絞り込んでいくべきです。
まずは上述した4つの機能が備わっているかを確認しましょう。
- 商談管理
- 顧客管理
- 営業活動管理
- レポート作成
これに加えて、下記4つの点に着目します。
①価格
初期費用は0円の製品もあれば、数十万円にのぼるものもあります。内訳は製品本体価格・初期設定・カスタマーサポートなどです。
続いて月額費用を見てみましょう。
1ユーザーあたりでは低価格帯だと無料~3,000円/月、高価格帯だと10,000円~/月です。
価格と機能の充実度合いは直結します。複数のプランがあり、低価格プランだと機能が制限されている製品も存在しています。例えば生成AI機能・他ツールとの連携機能・CRMの役割を兼ねる機能などは低価格プランにはなく、追加オプションになっているケースがあります。これらは運用体制によっては必要ないため、自社に必要な機能の見極めが肝心です。
②セキュリティ
顧客情報など機密性の高いデータを扱うため、セキュリティレベルの高さは重要です。クラウドサービスとしてデータを保管する製品が多いので、情報漏洩のリスク対策が出来ているかを製品説明の際に確認しておきましょう。
③モバイル端末で操作できるか
出先でいつでも操作可能な製品がおすすめです。営業が出先でスケジュールを確認したり、商談の記録を即座にメモしたりできるためです。操作する頻度が高ければ営業がツールに慣れ、有用性を実感するのが早まります。
④カスタマイズ性
必要な機能を具体的に決めて、それを実現できる製品の中から選びましょう。業種や事業規模によって必要な機能は異なります。たとえば見込み顧客を独自のルールでスコアリング・評価している場合は、その評価項目をSFAでも再現できるかどうか確認しましょう。
2.営業の理解
営業がSFA導入の意義を理解してくれるようにマネージャーは手を尽くす必要があります。実際にSFAを使う機会が最も多い営業の協力は不可欠です。多くの場合、導入初期には以下2つの課題が生じます。
①入力の手間
営業の入力する項目が多いため、負担が増すという課題です。顧客情報・商談情報・営業ノウハウ・日報などはすべて営業が記載します。業務効率化を目的としていながら事務作業に時間を取られ、本末転倒のように感じる営業もいるでしょう。
そのためマネージャーは入力作業の簡略化を工夫しましょう。不要な項目はないか棚卸しを行ったり、手打ちではなく選択式で入力できるようにしたり、なるべく操作が少ないインターフェースに改良したり、などが挙げられます。営業に利用状況をヒアリングして意見を取り入れてください。
②既存ツールからの乗り換え
既存ツールから移行する際、運用方法が変わると現場に負荷がかかるという課題です。
現場の負担を減らすため、マネージャーがスムーズな移行をサポートしましょう。データの入力形式は製品に人が合わせるのではなく、元々のやり方に近い運用ができるよう製品をカスタマイズしてください。ベンダーのカスタマーサポートの活用や、運用会社のコンサルティングを受けることも有効です。
移行作業がうまくいけば、営業の負担を減らせるだけでなく誤入力を防げる・説明の工数を減らせるなどマネジメント側にもメリットがあります。
SFA導入時の注意点を「ツールの選び方」・「営業の理解」の2点に分けて解説しました。
まとめ
SFAは営業に特化して業務効率化・業績アップをサポートするツールです。
SFAを使えば個々の営業はデータ活用による業務改善・ノウハウ共有による成果向上を実現できます。加えてマネージャーは部下の営業活動を効率的に管理・チェックし、最適なフォローができるのでチーム全体の業績アップを見込めます。
ただし導入の際は製品選びや現場への浸透に注意が必要です。
事前にSFAで解決できることと自社の課題を洗い出し、それらが嚙み合っていることを確認してから導入しましょう。
ビジネスイーカンパニーは、SFAの導入支援を行っているプロフェッショナル人材が、貴社に合った製品を選び、提案から導入支援・運用までをご支援します。
SFAの導入を本格的に検討する際には、ビジネスイーカンパニーにお任せください。